知っておきたい外壁塗装の豆知識
外壁塗装の工程「高圧洗浄」について
外壁塗装を行う際には単純に塗料を塗ればよいというわけではありません。
塗料を塗るべき外壁の下地部分の状態によって塗料の性能がどれだけ出せるか、どれだけ長持ちするのかが変わってきます。
そのために行う下地処理としては「ケレン作業」「下地調整」「シーリング」などがあるのですが、その中に「高圧洗浄」というものがあります。
そこでここでは外壁塗装の工程の一つである「高圧洗浄」について紹介していきたいと思います。
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一般的な外壁塗装の工程と、高圧洗浄を行う順番とは
外壁塗装はただ塗料を塗ることがすべてではありません。
細かく作業工程が分かれており、それぞれに役割と意味合いがあります。
まずはどういった流れで外壁塗装が行われているのかを知ることが重要となります。
最初に行われるのは業者による現場確認です。
現状がどういった状態なのか、どのような工事を行うのか、どういった工程で行うのかといったことを現場を見ながら確認が行われていきます。
そして2階以上の建物の場合は足場を組み立てていくこととなります。
だいたいここまで1~2日がかかります。
足場が設置できたら「高圧洗浄」が行われます。
高圧洗浄によって汚れやカビ、古い塗膜などを一気に削り落としていきます。
その後、下地調整、下地処理、養生をしていき、十分に乾燥して下地が整ったら外壁塗装を行っていくこととなります。
外壁塗装は「下塗り」「中塗り」「上塗り」と行われていき、それらがすべて終われば足場を解体して終了となります。
こうした外壁塗装の順番は基本的なものして押さえておきましょう。
高圧洗浄はどのようにして行われていくか
最近では通信販売、ネット販売などでも家庭用の高圧洗浄機が販売されているため、そういったものをイメージする人がいるかもしれません。
また、それなら自分で購入して高圧洗浄を行うことができるのではと思う人もいるかもしれません。
しかし実際にはそうはいかないものです。
ここでは実際に外壁塗装で使用される高圧洗浄機とはどういったものなのか、周囲への影響はあるのかといったことについて紹介していきます。
外壁塗装で使用される高圧洗浄機とは
家庭用に販売されている高圧洗浄機は水圧が8~12MPa(メガパスカル)のものが多くなっています。
こうした水圧のものでは掃除などには活躍しますが、外壁塗装の下地処理に必要な水圧には足りていません。
外壁塗装で使用される高圧洗浄機は少なくとも14.7MPa以上、150kgf/㎠以上の水圧が必要とされています。
これくらい強力な水圧でなければ古い塗膜などを根こそぎ削り落とすことができないのです。
もし外壁塗装の業者がこれよりも低い水圧の高圧洗浄機を使用していた場合は質の悪い業者である可能性があります。
高圧洗浄機は水が回転しながら出るタイプのものと、円錐状に出るタイプのものがあります。
強力な高圧洗浄機は音にも注意が必要である
高圧洗浄機はその名前の通りかなりの高い水圧で水を放出するため、騒音レベルの音が出るというものもあります。
音に関しては「静音(防音)タイプ」のものと「オープンタイプ(開放型)」と呼ばれる種類のものがあります。
住宅街などで使用されるのは静音タイプのものが多く、60デシベル程度の音しか出ないため、周囲の住宅にもそれほど迷惑がかかるということはないでしょう。
ただ、オープンタイプのものは90デシベル程度の騒音が出ることが多く、「パチンコ屋の店内」ほどの音量が出ます。
こうしたオープンタイプの高圧洗浄機を住宅街で使用すると近隣の住宅に大きな迷惑がかかるため、住宅街などで使用する際にはできる限り静音タイプのものを使用することが望まれています。
大規模な工事現場などですぐ近くに住宅がない場合などはオープンタイプのものを使用しても特に問題はありません。
高圧洗浄を行う際には業者選びが非常に重要である
高圧洗浄は外壁塗装を行う際に重要な工程となります。
しかし、こういった作業を行う業者の中には「技術が未熟な業者」「悪質な業者」などがあるのも事実です。
強力な水圧を使って洗浄をする作業なだけに失敗した際の被害も大きなものとなります。
そこでここでは高圧洗浄を行う際の業者選びのポイントについて紹介していきたいと思います。
高圧洗浄の作業時間が短い業者には注意
高圧洗浄は専用の高圧洗浄機を使用して家全体を細かく洗浄する作業工程となります。
これは表面についている汚れを流すだけではなく、錆びやカビ、汚れ、古い塗膜などを削り落とすような作業となります。
そのため、水で流したら終わりということはなく、時間をかけて作業をしていく必要があります。
普通に作業を行うと丸一日かかる作業なのです。
つまり作業工程表で「高圧洗浄で1日」「乾燥期間として1~2日」を確保していない業者は危険だということになります。
高圧洗浄の時間を2~3時間しか確保していないという業者はそれだけ手抜き作業をする可能性が高いのです。
また、高圧洗浄を行った後は十分な乾燥期間が必要となります。
水分が残った状態で次の工程に進んでいくと塗装の「剥がれ」「膨らみ」が起こりやすくなります。
こうした時間をしっかりと確保しているかどうかは必ず確認しておきましょう。
高圧洗浄は高い技術が求められる作業である
高圧洗浄を行う際には高い水圧で行うこととなるのですが、作業時間ずっと高い水圧のまま作業をするというわけではありません。
水を当てる場所によっては水圧を調整する必要があります。
例えば、窓ガラス、窓のサッシ部分、屋根材、ひび割れが起きている外壁などです。
こういった場所に高い水圧の水を当てると屋内に水が浸入することがあります。
また、屋根材や外壁材は「上から」の雨水を防ぐことを想定して作られています。
しかし「横から」「下から」高い水圧を受けるような構造にはなっていないため、こうした場所に高圧洗浄を行うと破損してしまう可能性があります。
ひび割れが起きているような場所に高圧洗浄を行うとひび割れが大きくなってしまったり、屋内に水が入りやすくなります。
そういったことがあるので、高圧洗浄を行う際には「水圧の調節」「水を当てる場所の調整」が必要となってくるのです。
それらが可能な技術を持った職人がする必要がある作業と言えるでしょう。
もし高圧洗浄を行っている際に屋内に水が浸入してきたり、屋根材などが破損した場合には損害賠償が発生する可能性もあります。
費用の説明があいまいな業者には注意
高圧洗浄を行う際には「家の形状」「外壁の広さ、範囲」などに応じて費用の計算が行われることとなります。
「単価がこれだけ」「洗浄面積がこれだけ」という数字を出したうえで、計算が行われて見積もりが出ている場合は安心ですが、「高圧洗浄一式」としか書かれていない場合は注意が必要です。
細かい計算の根拠がまったくわからず、ほかの業者よりも高い価格が設定されていることがあるからです。
もし見積もりに「一式」とだけ書いてある場合は単価や洗浄面積について質問をすることをおすすめします。
ここで明確に説明がある業者は問題ありませんが、細かい説明をしない業者は信用しないほうが良いかもしれません。
まとめ
高圧洗浄は外壁塗装を行う際に非常に重要な工程となります。
ここでしっかりと汚れや古い塗膜などを削り落とすことによって、塗料がしっかりと接着することとなり、本来の性能を発揮することができるようになるのです。
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